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今、なぜ?太陽光発電
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太陽の光は、あまねく世界にふりそそいでいます。太陽から地球上に到達する光のエネルギー量は1?あたり1kW。これをすべて利用できるとすると、1時間分で、世界中の人が1年間に使うエネルギーがまかなえるといわれています。この太陽エネルギーを直接電気に変えようというのが太陽光発電です。
太陽光発電は、「太陽電池」と呼ばれる装置を用いて、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する発電方式です。21世紀を担う小規模分散型エネルギーの代表といえます。
太陽光発電は英語ではPhotovoltaic Power Generation(略してPV)と呼ばれています。
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太陽光発電とは、何ですか?
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太陽電池によって太陽の光を電気に変えるシステムのことです。発電電流は直流です。光が当たった時だけ発電するために夜は発電しません。
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どのくらい発電するのですか?最適な季節はいつ?
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平均的な一戸あたりの設置容量は、3〜4kW。比較的条件の良い場合、1kWあたり年間で1000kWhが平均的な発電量といわれています。条件により、かなり幅があります。(10年間の平均では、942kWh)
発電量は、日射量に比例するため、雨が少なく、日射量の多い季節はたくさん発電します。しかし、真夏、太陽が高くモジュールの温度が上がると、効率は低下します。温度の影響はアモルファスでは影響が小さいなど、太陽電池の種類によっても異なります。また、設置方位、角度によって、最適な効果を発揮できる季節が、発電所ごとに異なります。例えば、角度の大きい発電所は、冬に相対的に成績がよいといった具合です。
それらの変動要因を勘案して、発電量予測ができるようにするためにも、さまざまな発電所の発電量データの蓄積が重要と考えています。
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方位の違いで、発電量はどのくらい変わりますか?
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もちろん南向きが最適です。最適な南面を100%とすると、東面と西面8〜9割、北面は傾斜角によっても異なりますが、6〜7割です。ひとつのシステムを東・南などに分けて設置することもできます。(多面設置)
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設置のために必要な屋根面積はどのくらいですか?
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3KWシステムを設置する場合の面積は20〜30?程度ですが、取り付け工事に周辺部にスペースが必要な場合もあります。
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古い家でも、太陽光発電を設置することができますか?
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3KWシステムの重量300〜450kg(架台を含む)の荷重が、20〜30?に分散してかかることになります。重さは陶器瓦の1/3〜1/4程度で、ほとんどの場合問題はありませんが、築年数や構造によっては、屋根の補強が必要になったり、荷重に耐えられず設置できない場合も考えられます。工務店や設置業者に相談してください。
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発電した電気を自宅で使うことができるのですか?
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太陽光発電による電気は直流です。パワーコンディショナーで交流に変換して、分電盤を通して、自宅に引き込まれ、使用することができます。ただし、太陽の照っている昼間だけしか発電しません。夜は、電力会社から電気を買うことになります。昼間の電気をためて夜使う蓄電の技術もあり、家庭用の蓄電池も販売されていますが、蓄電池の価格はまだ高く、蓄電ロスも生じるので、あまり普及していません。
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昼間余った電気を売ることができるのですか?
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太陽光の発電量が住宅内で使われている電気量より多い場合に、余った電気が電力会社に流れることを逆潮流といいます。この逆潮流した電気は電力会社に売ることができます。売電価格は、現在は、電力会社が供給している電気料金と同じ価格となっています。
2009年2月に発表された国の新しい施策により、今後この価格が、現在よりも高くなることが期待されます。
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太陽光発電で、自宅の使用電力をまかなうことができるのですか?
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設置容量、家族構成、生活スタイルによります。設置事業者にシミュレーションをしてもらい、予測される発電量と現在の電気の使用量を比べてみましょう。省エネに努めて、電気の使用量を少なくすれば、3〜4kWの設備でも、電気をすべてまかなうことも不可能ではありません。ただし、夜は発電しませんので、昼間の売電と夜の買電を相殺することになります。
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太陽光発電を設置すると、年間どのくらいのCO2を削減することができるのですか?
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太陽光発電が代替したエネルギーが排出したであろうCO2を抑制できたことになります。代替したエネルギーが何に由来するかによって、CO2削減量は変わります。厳密には、太陽光発電によるCO2排出量(電力中央研究所資料では、53g/kWh)を差し引く必要があります。各電源によるCO2の排出量は、電気事業連合会が発表するその年度の全電源の排出係数を用いて、CO2の削減量を計算することとしています。例えば2007年では、太陽光発電は、全電源1kWh当たり453g排出するCO2を削減するということですので、3kWシステム当たり、年間2971kWh、1345.9kgの削減になりました。石炭や石油などによる火力発電を代替していると考えると、もっと多く削減していることになります。
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日常の操作・点検はどうするのですか? メンテナンスは必要ないのですか?
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自動運転機能を備えているので、スイッチの入れ替えなど日常的には操作の必要はありません。
電気設備なので、多くのメーカーが4年に一度の定期点検を推奨しています。メーカーや設置業社のサービス部門に依頼できます。点検費用は、業者によって異なります。太陽電池は可動部がないので、比較的故障が少なく、長寿命と考えられています。発電量が低下していないかを日常的にチェックしましょう。
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発電量が予想よりも少なくなるのはどんな理由が考えられますか?
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太陽光発電の発電量は、日射量に比例します。方位や傾斜角や周りの影などの条件で日射量が左右されることになります。周りに高い建物が建つなど、条件が変われば発電量が低下することは予想できます。周辺樹木や、送電線やテレビアンテナの影など、思ったよりも影響がある場合があります。条件が良いにもかかわらず、発電量が低下した場合は、故障を疑う必要があるでしょう。
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発電量の低下が疑われるときは、どこに相談したらよいのですか?
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太陽電池メーカーや設置業社のお客様相談窓口に連絡しましょう。月々の発電量を記録しておくことをおすすめします。
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保証期間はどのくらいですか?
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ほとんどのメーカーのモジュールは10年保証となっています。パワーコンディショナーなどの周辺機器については保証期間が短く設定されている場合もあります。保証書を確認してみましょう。
故障した場合は保証期間内であれば基本的に無償修理、保証期間後や保証条件外で有償になることは、他の電気製品と同じです。
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台風や地震など災害のときは大丈夫? 逆に、災害時の利用方法は?
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強度を計算して設置しますので、よほどの大地震でもない限り壊れることはありませんが、まれに飛んできたものがぶつかって表面のガラスが割れたということはあるようです。陸屋根に角度をつけた架台は風の影響を受けやすく、大風で家が揺れたり、架台が外れてモジュールが飛んだこともあるとのことです。雷の影響でパワーコンディショナーが停止したり、モニタリング装置の内蔵コンピュータが壊れたりということはよく知られています。
しかし、災害時は心配よりはむしろメリットを発揮する時です。たいていの設備には非常用のコンセントがついており、停電のときに自立運転に切り替えることによって、系統連係からはずれ、発電した電気をそのまま使用することができるようになります。非常用コンセントは、パワーコンディショナーの近くなどの高いところについていることが多いので、延長コードなどが必要になります。日が陰ると弱まり、安定的な電源とはいえませんが、非常時の貴重な電源となります。ワット数の大きいものや瞬発力の必要な電気掃除機などは向きません。
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屋根の修理、塗り替えのときはどうするのですか?引越しや建て替えのときは取り外して再設置できるのですか?
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工事の状況により、モジュールや架台を取りはずす必要が生じる場合もあります。いったん取り外しても再設置すればまた使えます。新しい屋根の設計をそれようの仕様にする必要がありますので、事前に工事業者に相談してください。
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取り外した太陽光モジュールは廃棄物としてどのように処理されるのですか?
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メーカーが協力して、リユースのしくみづくりやリサイクルの研究が行なわれています。ガラス板にシリコンを固定している樹脂をはがす技術を開発中とのことです。リユースのあっせんをはじめた事業者もあります。リユースやリサイクルが行なわれないとすると、粗大ごみまたは産業廃棄物として処理されることになります。第一世代の太陽電池もほとんどはまだ現役。元気なうちに、環境負荷の少ない処理方法の確立が待たれます。
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太陽光発電は、製造時にコストがかかり、その分エネルギーを消費しており、CO2も出していることになるので、本当に環境にやさしいといえるのでしょうか?
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確かに、太陽光発電は、他の電源に比べて発電コストが高いといわれています。しかし、必ずしも、コスト=エネルギーではありません。同じ距離を自家用車で行くのとタクシーを利用したのでは、タクシーの方が高いからといって、タクシーの方が環境に負担をかけているわけではないのと同じです。発電コストに含まれるのは、材料費、人件費、開発費、製造時のエネルギー使用量などです。エネルギー・ペイバック・タイム(EPT)といって、製造等に投入するエネルギーを、発電等で回収に要する年数で評価すると、太陽光発電は、生産規模や電池の種類によっても異なりますが、1.4年から3.4年といいます(第25回太陽光発電システムシンポジウム、みずほ情報総研(株)発表より)。製造時だけでなく、運転期間や廃棄におけるエネルギー等の算出方法など、ライフサイクル評価の研究がされています。今後の技術の向上や効率向上で、太陽光発電のエネルギー・ペイバック・タイムはさらに短くなっていくことが期待されます。
太陽光発電が代替していると考えられる化石燃料(石油、石炭、天然ガス)による発電は、地球温暖化の原因となるCO2を発生させますし、原子力も環境への負荷が大きいと考えられます。しかもいずれは枯渇してしまうこれらのエネルギー源に頼ることは、持続可能な未来を保障しません。これからは太陽光をはじめとする環境にやさしい再生可能エネルギーをエネルギーの主流と考えるべきでしょう。
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